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発達障害の子どもを支援-悩む親へ子育てスキルを

朝日新聞厚生文化事業団は、発達障がいのある人々を支援する活動を応援する「『発達障がい』とともに生きる 豊かな地域生活応援助成」の2025年度の助成対象団体を決定しました。
選ばれた11団体のうち、4団体の取り組みを紹介します。
(※2025年2月18日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

アートで広がる可能性!NPO法人「芸術家と子どもたち」

NPO法人「芸術家と子どもたち」(東京都)は、2001年に設立されました。
東京都内の廃校を拠点に、公立小中学校や特別支援学校、保育園、児童養護施設などにアーティストを派遣し、美術や音楽、演劇のワークショップを授業の一環として実施しています。
2025年度は、公立小中学校の特別支援学級でワークショップを開催し、2026年度には通常学級と特別支援学級の合同ワークショップ、2027年度には校内研修を行う予定です。
代表の堤康彦さん(60)は、「発達に特性のある子どもたちは、豊かな感性と独自の創造力を持っています。アーティストとの対話を通じて、言葉だけではない新たなコミュニケーションを生み出し、その姿を周囲の子どもたちや先生方と共有したいです」と語っています。

発達障がいの大人を支える自助グループも全国展開

NPO法人「DDAC」(大阪市)は、発達障がいのある大人たちのセルフヘルプグループとして、2002年に活動を開始しました。
創設者の広野ゆいさん(52)は、忘れ物や遅刻が多い、物をなくしやすい、感覚が過敏で周囲の刺激に影響を受けやすいといった特性に悩み、31歳で注意欠如多動症(ADHD)と診断されました。
このグループでは毎年リーダー育成研修を実施し、これまでに100人以上が受講しました。
研修を修了した人たちは、北海道から九州まで各地でグループを立ち上げ、活動を広げています。
今回の助成を活用し、グループ運営のノウハウを冊子やウェブサイトにまとめ、遠方の人にも情報を届けることを目指しています。
また、子どもと大人の間にいる高校生や大学生向けの自助グループはまだ少ない状況です。
広野さんは「若い世代のグループもさらに広げていきたいです」と意欲を語っています。

医療・福祉・教育が連携し、発達障がい児を支援するしくみ

医療法人社団草童会(東京都)は、2022年から小児科、病児保育室、障害児通所支援施設を併設し、発達障がいのある子どもたちに対して医療・福祉・教育が一体となった支援を行っています。
医師、公認心理師、保育士が連携することで、それぞれの特性に適したサポートが可能になります。
しかし、子どもたちは学校や地域の放課後等デイサービスなど、さまざまな施設を利用しているため、支援方針の共有や地域全体の連携が重要だと感じています。
関係機関が協力することで、子どもの心身のケアだけでなく、保護者や兄弟姉妹のサポートにもつなげていくことができます。
来年度からは、障害児支援施設向けの研修やサポーター研修を実施し、県を超えて近隣自治体の学校や施設にも参加を呼びかける予定です。
小児科医でもある佐藤明弘理事長(51)は、「地域全体で子どもたちを支える意識を高めていきたいです」と語っています。

子育てに悩む親を支える学びの場

NPO法人「親の育ちサポートかがわ」(香川県)は、すべての親が子育てについて学ぶ機会を持てるよう、2017年に設立されました。
行政や学校と連携し、情報冊子の発行なども行っています。
これまで、オーストラリアで開発された「トリプルP」(前向き子育てプログラム)を活用し、対面やオンライン、オンデマンド配信を通じて子育てに悩む親を支援してきました。
しかし、発達に特性のある子どもの子育てには、より専門的な知識やスキルが求められます。
そこで来年度は、発達障がいの子ども向け療育に応用行動分析学(ABA)を取り入れた新たな支援事業に力を入れる予定です。
代表の鈴木裕美さんは、「生きづらさを抱える子どもと、育てづらさに悩む親を支え、より幸せな毎日を送る手助けをしたいです」と話しています。

2025年度の助成対象団体一覧

2025年度は、11団体に総額約959万円の助成が贈られます。
これまでに紹介した4団体に加え、以下の団体が助成を受けることになりました。

【3年継続助成】ネスト・ジャパン(東京都)、ディスレクシア協会名古屋(愛知県)

【単年助成】成人発達障害支援学会(東京都)、東京都自閉症協会、Ledesone(大阪府)、ABA SPEAKS(兵庫県)、熊本県自閉スペクトラム症協会