赤ちゃんを抱える際に使用する「ベビーキャリア」と呼ばれる抱っこひもから、乳児が滑り落ちて大けがをする事故が後を絶たない状況です。
このため、国民生活センターは保護者に対し、使用時の注意を強く呼びかけています。
(※2025年4月9日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)
低月齢の赤ちゃんに多い落下事故・・・抱っこひも使用時の注意喚起
医療機関が参加する消費生活事故の情報ネットワークには、2019年4月から2025年1月までの間に、ベビーキャリアを使用中の子どもの転落事故が138件報告されています。
そのうち、91%が0歳児で、特に生後3か月以内の乳児が46%を占めており、非常に幼い赤ちゃんへの影響が目立ちます。
さらに37件では、骨折や頭蓋内損傷といった深刻なけがが確認されており、保護者の十分な注意と製品の安全な使い方が求められています。
落下事故の多くが装着ミスに起因
抱っこひも使用中の事故について調査したところ、着脱時の事故が全体の約3割であったのに対し、着用中に発生した事故が約7割と多数を占めています。
特に、赤ちゃんが抱っこひもから抜け落ちるケースが最も多く報告されており、深刻な事故につながっています。
その中でも、少なくとも4割は、抱っこひもが正しく装着されていなかったことが原因と考えられており、たとえば紐が緩んでいたなどの不適切な使用が確認されています。
抱っこひも装着時、緩みと服装の影響に要警戒
国民生活センターが実施した製品テストの結果によると、抱っこひもをゆるめた状態で装着した場合、保護者の身体との間に大きな隙間ができることが確認されました。
そのため、前傾姿勢になると、赤ちゃんの体が簡単に抜け落ちる可能性が高まるとされています。
さらに、厚手の上着を着用したときと脱いだときでフィット感が変化し、ひもが緩んでしまうこともあります。
このような服装の変化によっても、同様のリスクが生じることが指摘されています。
抱っこひも使用時の基本動作と調整の重要性とは
国民生活センターは、抱っこひもを使用する際には、取扱説明書に沿って正しい手順で装着することを勧めています。
服装の変化や使用者が変わった場合には、その都度しっかりと調整することが重要です。
さらに、装着中は前かがみになるなど腰を曲げた姿勢を避け、赤ちゃんを片手で支えながら、ひざを曲げて腰を落とすようにしゃがむ動作が推奨されています。
これにより、万が一の転落リスクを軽減できます。
抱っこひも選びと装着時の確認が事故防止の鍵
国立成育医療研究センターで副院長を務める植松悟子医師(救急診療部統括部長)は、赤ちゃんの落下による診察は決して珍しいことではないと述べています。
そのうえで、「抱っこひもを使用する際には、月齢や体格に合っているかを確かめ、ストラップをしっかりと調整して保護者と赤ちゃんの間にすき間ができないようにすることが大切です」と注意を呼びかけています。
特に、兄姉が使っていたものや、譲り受けた抱っこひもを使用する際には、装着状態が合っているかを慎重に確認する必要があるとのことです。