食物アレルギーとは一般的に即時型アレルギーを指します。即時型アレルギーは食後1時間以内に症状が出ます。
2000年頃から食後3時間くらいたって発症する「消化管アレルギー」もあることが分かってきました。
保育園で子どもに以下の様な症状が出た場合、即時型アレルギーを疑ってください。
即時型アレルギーと消化管アレルギー
即時型アレルギーとは
体内に入ってきた食物を異物と認識してしまい、それを攻撃するためにIgE抗体が過剰に反応してしまうことで起こります。食後1時間くらいに症状が出て、主に卵白・牛乳・小麦で発症する子どもが多いです。
●症状:じんましん・くしゃみ・せきなど。まれにアナフィラキシーショックも。
●発症時期:乳児~成人
●発症割合:1歳児:7.6%、2歳児:6.7%、3歳児4.9%
●原因となる食物:卵白・牛乳・小麦などさまざま
消化管アレルギーとは
食物に含まれるたんぱく質に対して免疫細胞が過剰に反応することが原因とされていますが、詳しいことはわかっていません。
●症状:食後3時間くらいで嘔吐を繰り返す。翌日から数日後に体重の減少や血便がある。アナフィラキシーはおきにくい。即時型と併発することもある。嘔吐による脱水症状に注意。
●発症時期:新生児・乳幼児。まれに成人
●発症割合:1歳半前までに1.4%
●原因となる食物:卵黄・卵白・牛乳など
消化管アレルギーと診断されたら、原因となる食物を食べないように気を付けて日常生活を送ります。ほとんどは5歳までに治りますが、5%程度の子どもはその後も症状が残るといわれています。治ったかどうかは、原因となる食物を定期的に少量食べる試験をして判断します。
あまり知られていないため、隠れた患者がいる可能性大
東京都の国立成育医療研究センターでは、2011~2014年まで全国の93,000人の赤ちゃんを調査しました。
その結果、1歳半までに消化管アレルギーと診断された赤ちゃんは0.5%いたとのことです。
しかし、保護者からの申告だけあって診断に至っていない赤ちゃんも多数いることがわかりました。
それらを合わせると1.4%になるとのことです。100人に1~2人の赤ちゃんが消化管アレルギーの可能性があります。
診断が難しい消化管アレルギー
即時型アレルギーは、食物の種類ごとにIgE抗体の血液検査ができ、診断がしやすいです。一方で消化管アレルギーは原因がIgE抗体ではなく、確立された検査方法がないため、診断が難しいのです。
実際には、症状からアレルギーを疑い、他の病気のある・なしをしらべ、原因とされる食物を食べないように工夫したりし、食べた時にどんな反応が起こるかを分析して総合的に判断します。
消化管アレルギーは一般的に知られていないため、医師でも見落とすことがあります。発症の仕方が似ていても、しかしたらと感じた場合、詳しい専門医に相談をしてください。
消化管アレルギーは卵黄でも発症することがある!
卵白に比べて卵黄はアレルギーの発症が少なく、赤ちゃんの離乳食に良く使われます。しかし消化管アレルギーは卵黄でも発症することがわかっています。また、卵黄より卵白をたくさん食べても症状が出にくいことが分かっています。
2021年2月17日(水)朝日新聞朝刊より出典