保育士資格合格パーフェクトナビ

保育士資格合格パーフェクトナビ
2025.01.26

豪雨災害後、その地域で子どもの喘息が増える傾向あり

2018年7月に広島県を中心に甚大な被害をもたらした西日本豪雨において、被災した子どもたちに気管支ぜんそくの発症が増加していたことを、広島大学の研究グループが明らかにしました。
同グループは100万人以上の診療報酬明細書(レセプト)データを分析し、その結果を米医学誌に発表しました。
自然災害が子どものぜんそくを悪化させる可能性については、これまで臨床現場で指摘されてきましたが、今回の研究は大規模な疫学調査によってその関連性を実証したものです。
(※2024年11月6日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

自然災害時に求められる子どものぜんそく対策と医療体制の構築

「近年、自然災害が増加しており、災害発生時には子どものぜんそく発症や悪化を考慮した診療や医療体制の整備が必要です」との見解が示されています。
自然災害が発生すると、大気汚染や生活環境の変化、さらに心身のストレスが加わります。
これらの要因は気管支ぜんそくのリスクとされており、特に子どもへの影響が大きい可能性が指摘されてきました。しかし、これまで大規模な研究は十分に行われていませんでした。
今後、子どもたちの健康を守るための包括的な対策が急務とされています。

西日本豪雨が子どもたちのぜんそくリスクに与えた影響

研究グループは、西日本豪雨から1年間にわたり、広島、岡山、愛媛の3県における診療報酬明細書(レセプト)のデータを分析しました。
調査対象は19歳以下の107万3170人で、そのうちぜんそくの吸入治療薬の処方件数を調べました。
分析の結果、自治体から被災者と認定された4425人の中で、1年以内に新たに吸入薬の処方を受けたのは287人(6.5%)でした。一方、被災していない子どもたち106万8745人では5万9469人(5.6%)が処方を受けました。
年齢や性別の影響を取り除く統計手法を用いた結果、被災した子どもたちのぜんそくリスクは、被災していない子どもたちに比べて約1.3倍高いことが分かりました。
また、この影響は被災直後だけでなく、1年後にも持続していたことが明らかになりました。
この調査結果は、自然災害後の子どもたちの健康管理における重要な指針となるものです。

災害時の小児患者への支援体制強化の必要性

広島大学の内海秀特命助教(救急集中治療医学)は次のように指摘しています。
「小児の患者は災害弱者であり、自分で『苦しい』と訴えることが難しく、体力が乏しいため重症化のリスクが高いです。
ぜんそくは小児に最も多い慢性疾患でもあります。そのため、被災地においては薬の供給を十分に確保すること、患者を受け入れられる医療機関への経路を整備しておくことが、それぞれの地域で必要ではないでしょうか」。
災害時の小児患者のケアにおける適切な体制の構築が急務であることを示す重要な意見です。