ここ数年で保育施設がかなり増えました。2020年に幼稚園・保育園・認定こども園で起きた事故は、2019年よりも287件増え、1,586件だったことが判明しました。
2015年に今の集計方法になってから最多に
それまでの集計方法が改められ、現在の方法に統一されたのが2015年。内閣府の発表によると、それ以降で最多となっています。
ここでは、重大な死亡事故について詳しく見ていきます。
2020年に死亡した児童は5人。内訳は4歳が2人、1歳が2人、0歳が1人です。
死亡した児童がいた園は、認定こども園が2人、認可保育園が1人、認可外保育施設が2人となっています。
3人が窒息死していた
死因について、最も多いのは窒息。食べ物が詰まったことが原因で、3人が亡くなっています。
その他にはSIDS(乳幼児突然死症候群)が1人、その他が1人となっています。その他の死因については詳細は公表されていません。
幼稚園では事故が起こっていませんが、これは滞在時間が短いことと、3歳児~の児童しかいないことによると考えられます。
保育園は0~5歳児までいるうえに、長時間過ごします。おやつは昼寝もあります。夏休みは春休みはありません。そのため、事故が多くなってしまうことは十分考えられます。
保育園などを利用する児童は2020年には274万人おり、2019年よりも6万人も増えています。母数が増えれば、当然発生件数も増えます。
内閣府の担当者は、「事故報告の仕組みが浸透したことによる背景もあるだろう」と話しています。
どんな場面で窒息死が起きているのか?
【1】大粒のぶどうをのどに詰まらせたケース
東京都八王子市の幼稚園で2020年9月、給食に出た大粒のぶどうをのどに詰まらせて4歳の男児が亡くなるという事件が起きました。
給食で出されたのは直径が3cmほどあるピオーネという品種。大粒で甘みも強く、人気の品種です。
ぶどうを食べた男児は急に苦しそうな表情で立ち上がったため、すぐに職員が吐き出させようとしましたが、取り出すことができなかったそうです。男児は搬送先の病院で亡くなりました。
後に、1/4程度にカットしてから出した方が良かったのでは、という意見もありました。しかし、忙しい調理現場を考えると現実的ではありません。
また、カットしてしまえばその大きさがわからなくなるうえ、噛む機会も奪われてしまいます。食育の観点から、旬の果物を食べる機会は作ってあげたいのもわかります。
結局、「のどに詰まりそうな食材は避ける」という方向になったそうです。
【2】「残さず時間内に食べる」が優先されてしまった?ケース
大阪市城東区の認可保育園で2020年2月、1歳2ヶ月の男児が給食をのどに詰まらせて亡くなる事件が起きています。
男児は給食に出たリンゴを食べるのを嫌がり、保育士がハンバーグ一緒に口に入れたところ、男児が体をのけぞらせたため、のどに詰まらせたそうです。
この園では、給食は「時間内に」「残さず」食べることが暗黙のルールとなっていました。これが事故につながったのではと結論付けられたそうです。
子どものペースよりもルールが先行してしまったことが背景にあるとみています。
後に市は園にたいして、子ども一人ひとりの発達に応じた適切な食事の援助を行うように求めました。
2021年6月19日(土)朝日新聞朝刊より出典・引用しています。
https://www.asahi.com/