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2020.09.24

医療ケア児と家族の現実 母親も就労させてあげたい!

日本では高度な周産期医療が受けられる国として世界的に知られています。妊娠出産に関して高度な医療技術を持っており、さまざまなリスクのある妊婦さんや新生児をケアできます。日本は「世界一赤ちゃんを救う国」とも言われています。

増える医療ケア児、この10年で2倍に

医療ケア児とは、日々の生活に医療が欠かせない子どもたちのことを指します。例えば、呼吸のために気管切開をして機器を装着していたり、食事のためのチューブを胃に通していたりなど、子どもによってさまざまです。
一般的に健常児と共に園や学校に通うことが難しいとされています。
日本は周産期医療が発達しており、体重が500gに満たない赤ちゃんや、先天的に重い障害を持つ赤ちゃんでも生き伸びられるようになりました。
医療ケア児は2008年には10,413人でしたが、2018年には19,712人。この10年で2倍になっています。
日々ケアする保護者の負担は相当なものです。

神奈川県在住 40代女性の場合

ある40代女性は、夫の仕事の都合で海外に移住していた時に妊娠が発覚。出産予定日を2か月後に控えた時期に、日本で出産しようと実家に戻りました。
日本での妊婦検診では羊水過多を指摘されました。女性側に異常はなく、子ども側に異常がるかもしれないことが分かり、神奈川県立子ども医療センターで羊水検査を受けたところ、子どもは染色体異常の一種である「18トリソミー」と診断されました。
「18トリソミー」は、生まれつき心臓などに病気を抱えたり先天奇形があったりする病気。知的障害も伴います。医師からは、限りある命かもしれない、とも言われました。

2015年に生まれた長男は・・・

帝王切開で生まれた子どもは、院内のNICU(新生児集中治療室)に運ばれました。産まれて2か月後には在宅医療を始めました。訪問看護師がきてくれるわずかな時間に買い物に出かけたりと慌ただしい生活になりました。自力で哺乳することもむ難しく、栄養補給も経管で行っています。呼吸も安定しなく、夜中に何度も目が覚める日々が続きました。
その後、夫の海外赴任に合わせて数か月海外で過ごしました。家族でかけがえのない日々を過ごせたようで、帰国後の診療では、子どもが生き生きと良い表情をしていた、と担当医が語っています。

2018年には次男誕生

二人目の出産に関して、教員の夫が育児休暇を取得してくれたそうです。
その間、母親も教員への復職を真剣に考え始め、職場に復帰。児童発達支援施設の協力も欠かせませんでした。
しかし、夫の育児休業が終了するのは2021年。医療ケア児を受け入れてくれる保育園は見つかっていません。
共働きが増えていますが、医療ケア児に関しては母親が見ているケースほとんど。なかなか思うように就労できていません。
ケアにかかわる父親は増えていますが、まだまだ理解を促す必要がありそうです。

お母さんだって自分らしく自分の人生を生きる権利があります!

母親の就労支援のためには、医療ケア児を受け入れてくれる保育園などを増やす必要があります。
例えば、高齢者の施設には看護師が常駐していることが多く、医療ケア児を預かる施設を併設するのもひとつの手ではないか、という意見もあります。

2020年9月15日(火)~18日(金)朝日新聞朝刊より出典