長時間労働が当たり前だった美容業界。子どもを産んで育てる母親が続ける環境は整っているとはいいがたい現状がありました。
そんな今、子育て中の母親が運営する美容室が話題です。
時短営業、日・祝は休み。今までの業界の常識を覆す!?
横浜市泉区弥生台にある美容室「soel」。オープンしたのは2018年10月で、スタッフ3人は全て子育て中のママです。
代表の関口さんは、2010年に長男を出産しました。当時の美容業界では、過酷な労働条件が当たり前で、家事や育児と両立して働き続けることが極めて難しかったといいます。
関口さんは以前は保育園の閉園時間ギリギリまで子どもを預かってもらい、それでも早めに職場を出ることに負い目を感じていたそうです。
さらに長男が体調を崩して入院した時、そばにいてあげたいのに働きに出る自分を攻めてしまい、「ひどいことをしているのでは」と悩んだそうです。
これは子育て中の働く母親なら誰でも経験があるでしょう。
そこで関口さんは独立にあたって、子育てと両立できる美容室の運営を考えたそうです。
共感の輪が広がり、ママさんスタッフが集まる
★営業時間は9:00~5:30
★一人の施術時間をたっぷり設定
★日曜日と祝日は定休日
★技術講習会は休日に行わず平日に
夫は会社員で残業もあるため、家事や子育ての分担には限界があります。長時間の営業を求めていない客もいると割り切って短時間集中をコンセプトにしているそうです。
そんな店の姿勢に共感して二人のママさんスタッフが集まりました。スタッフは
「日曜日が定休日なので保育園以外の預け先を探す心配がない。子育て中の母親に優しい」
「夕方に仕事が終わるので、家事や育児の時間が十分取れる」
とのこと。
子どもの急病などの時はスタッフ間でフォローし合うそうです。
予約は2か月先まで一杯!
お客さんに来店の動機を聞くと、子育ての悩みなどをスタッフと共有し合ったりなどできる、という人がいるそうです。確かな共感の輪が広がっています。
関口さんは、長く楽しく美容師を続けていきたいと語っています。また、子育てしながら好きな仕事を続けられる喜びを伝えたいとも言っています。
子育て中の母親でも無理なく両立できる働き方がもっと広がれば嬉しいですね。
2020年12月9日(水)朝日新聞朝刊より出典