最近は2,500g未満で小さく生まれる赤ちゃんが増えていると言われています。そんな赤ちゃんと保護者のための母子手帳「リトルベビーハンドブック」が話題になっています。
一般に配布される母子手帳の発育曲線とは合わない
我が子の発達は正常なのかしら・・・3,000g前後で生まれた満期産の赤ちゃんでも、我が子の成長は気になるものです。
これが、小さく生まれた赤ちゃんだったらなおさらです。一般的な母子手帳に掲載されている発育曲線には当てはまらず、不安を覚える親は多いとのことです。
体重が1,500g程度で生まれた子を育てる親は・・・
妊娠33週で生まれた子を育てるある母親は、生まれてすぐにNICU(新生児集中治療室)に入り、管に繋がれる我が子を見て、何度も自分を責めてしまったそうです。
産後42日目に退院できましたが、母子手帳の発育曲線と我が子を比べてしまい、落ち込むことも多かったとのこと。
元々予定日だった日に生まれたと仮定して発育曲線に当てはめても、我が子の身長や体重はグラフのずっと下の方。
月齢に対し「こんなことができるようになります」という記述もほぼ我が子には当てはまりません。検診で医師に「まだ○○はできませんか?」とたずねられることもつらく、いつも「小さく生まれてNICUに入っていた・・・」と説明していたとのことでした。
その母親は、「母子手帳を手にすることは本来とてもうれしく幸せなことなのに、私は普通のお産もできなかったし、子どもも普通の発育ではない。この現実を突きつけられ、胸が締め付けられる日々だった」と語っています。
産前は母子手帳に体調の変化を記入していましたが、産後は記入する気持ちが起きなかったそうです。
小さく生まれた赤ちゃんのための「リトルベビーハンドブック」
その母親はある講習会で「リトルベビーハンドブック」のことを知りました。一般配布される母子手帳の発育曲線は、体重は1kgから、身長は40cmからになっていますが、「リトルベビーハンドブック」にはもっと小さい赤ちゃんに対応できるような目盛がついています。
また、発達に関する記入欄も、はい・いいえの二択ではなく、できるようになった日付を書く欄になっています。
れこにより、平均的な赤ちゃんと比べることなく、我が子なりの成長が感じられるような工夫がされています。
さらにその母親にとって心強かったのが「先輩からのメッセージ」でした。同じように小さく生まれた赤ちゃんを育てた経験のある母親からのメッセージです。
「たくさん泣いたけど、今はいい思い出になっています」
「一人じゃないよ!」
など、想いを寄せるメッセージが載っています。
低体重で生まれる赤ちゃんは年々増えている
厚生労働省の人口動態統計によると、体重が2,500g未満で生まれる赤ちゃんは年々増えているようです。1980年には5.2%だったのに対し、2017年は9.4%になっています。これは、高齢出産による多胎妊娠や不妊治療が増えているからだとも言われています。
小さく生まれた赤ちゃんは生まれてすぐに保育器に入ることが多く、生まれた赤ちゃんに愛情を感じにくかったりすることがあるようです。
周りのスタッフや専門家が早期から寄り添いながら、ゆっくりでも子どもの成長を感じられるようになる手助けの一つとして「リトルベビーハンドブック」はあります。
まだ導入されていない自治体もあるとのこと。全国に広がるといいですね。
2021年10月2日(土)朝日新聞朝刊より出典・引用しています。
https://www.asahi.com/