保育士資格合格パーフェクトナビ

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2020.08.27

ママの不調は子どものせいじゃない!精神疾患を持つ親とその子どもを救おう

保育園には様々な事情で通うお子さんがたくさんいます。両親が共働きの家庭だけではありません。ひとり親だったり、両親が疾患や障害を抱えていたりする子どもも多くいます。
保育園に勤務することになるということは、子どもも含めたその家庭と寄り添うケースがたくさんあります。

翻訳されたドイツの児童書「悲しいけど、青空の日」

主人公は9歳の女の子モナ。母親が精神疾患を抱えており、さまざまな人との出会いを通じて病気や障害への理解を深めていく物語です。
同じ境遇にいる子どもたちへのメッセージや相談先も盛り込んだ手引書となっています。

母親が体調の悪い日は、一日中寝て過ごしています。代わりに家事を行ったりするモナ。
ママの不調は自分のせいでは、と思い込んでしまい、なかなか周りに相談できません。
そんな中で学校で精神疾患について習います。そして、「ママが調子が悪くなるのはあなたのせいではないよあなたは楽しく過ごして」と語りかける内容になっています。

第二章「子どもの言葉で解説」、第三章「大人向けの解説」

第二章では、モナが色々な出会いを通じて知った精神疾患について、子どもでも理解しやすい言葉で説明されています。
第三章は、大人向けの解説になっています。
翻訳したのは、佛教大学准教授の田野中恭子さん。ドイツでは、精神科や支援機関に置いてあり、子どものいる患者に紹介されるとのことです。

田野中さんは精神疾患のある親と子どもたちの集いに多く参加してきた

田野中さんは保健師の資格を持ち、2012年ごろから精神疾患の親を持つ子どもたちの集いに参加してきました。病気に苦しむ親を気遣う子ども達は、周りの友達や先生に隠しながら家事をこなしています。一人で抱え込みながらなんとか日常を送っている様子が分かりました。
そんななか、この原著を読み、物語性に心を打たれたそうです。

出版社には採算が合わないと断られ、クラウドファンティングで翻訳化を実現!

翻訳することを決めましたが、出版社に問い合わせても、採算が合わないと断られる日々、そんな中、NPO法人ぷるすあるふぁの助言を受けてクラウドファンティングを呼びかけました。そして目標額の250万円に達し、出版することができたそうです。

なかなか実態調査が進まない日本

日本では、精神疾患を持つ親と子どもたちの実態調査がなかなか進んでいないと言われています。
最近では、子どもの立場だった人が大人になって交流する場を設け、増え続けています。
田野中さんは、「誰かに相談して、悲しさで満ちるような日々にならないようにしたい」と話しています。

「悲しいけど、青空の日」Youtubeでは朗読動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=m-JaWohaUsQ

2020年8月22日(土)朝日新聞朝刊より出典