保育士資格合格パーフェクトナビ

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2020.11.21

親が離婚しても両方に会いたい・・・提訴した原告に子ども達も加わる

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親が離婚しても、子どもにとって父母共に血のつながった親であることには変わりありません。夫婦は離婚すれば他人に戻れますが、子どもたちは一生血縁者なのです。
両親が離婚しても双方の親に会う権利を保障して欲しいと、子どもたちが原告に交じって提訴をしたニュースは、現代の制度に対して子ども目線で考えさせられる事柄でした。
保育園には多くのひとり親家庭の子どもが通っています。保育士として何か相談を受けることがあるかもしれないので、知識として蓄えておきましょう。

3組に1組は離婚すると言われる現代

平成27年度の厚生労働省の調査によると、離婚件数は約22万件で、婚姻件数約63万件に対し、約1/3。3組の1組が離婚すると言われます。
また、離婚した夫婦に子どもがいるケースは約6割、子どもがいないケースが約4割となっています。
離婚を考えていない一般の夫婦でも、子どもがいるケースは約6割、子どもがいないケースが約4割となっており、「子どもがいるから、子どものために離婚を思いとどまろう」と考える人は少ないことが分かっています。
母子家庭が経済的に苦しい状況にあることはよく知られていますが、昭和の時代と異なり、我慢して一緒に生活しなくてもなんとかやっていける世の中になってきたのでしょう。

「離婚後の面会交流の制度が不十分」原告に子ども3人が加わる

現在日本には離婚した親に定期的に会える面会交流の制度があります。しかしこの制度が不十分だとして11日、男女11人が国に約170万円の賠償を求めて提訴しました。
以前にも子どもと会えなくなった親による訴えはありましたが、この訴訟では、原告に当事者である子どもが3人加わったことがニュースとなっています。
今年の8月に子どもとの面会交流をめぐって親が起こした訴えについて、東京高裁は、「子どもの権利条約について、面会交流の権利を尊重する規定だが、親の権利を保障したものではない」と判断しました。
今回は子どもが原告に参加しており、新しい司法判断がされるのではないか、と期待されています。

原告は、親子が面会できないのは基本的人権の侵害、と訴えている

子どもが参加する原告は、「面会ができないのは、憲法が保障する基本的人権の侵害にあたる」としており、離婚後に双方の親との面会の必要性を強く主張しました。
さらに法務省や学者らでつくる「家族法研究会」は、別居中や離婚後の子どもの養育のあり方を議論していることにも言及し、新たな面会交流の制度について、国会が立法義務を負うべきだ、と主張しています。

近年増えている、片方の親による子どもの一方的な連れ去り

最近はどちらかの親が子どもを連れ去り、もう片方の親に会わせないようにするケースが問題になっています。
子どもを手元に確保すれば、監護の継続性で、親権や監護権の獲得に有利になるという情報が知れ渡るようになり、父親による連れ去りも増えました。

提訴後の会見で、10歳の時から母親と過ごし、父親に会えなかったという20歳の男性は、「母親に迷惑をかけたくないという思いから、父には会いたくないと思い込んでいた」とも振り返りました。
子どもが双方の親に会いたい、頼りたいと思う瞬間はあり、面会制度などの法律がしっかり整えられれば、もっと会いやすくなるし、本音を話しやすくなるのではないか、とも話しています。

2020年11月12日(木)朝日新聞朝刊より出典