幼少の頃に受けたがんの治療。大人になってから影響をうける「晩期合併症」の予防や早期発見に繋げるため、「長期フォローアップ外来」が全国で広まってきました。
これから働く親がどんどん増えると小児がんの子供が保育園に入園してくることもあるかもしれません。保育士の知識として蓄えておきましょう。
小児がんの治癒経験者は数万人規模
20~39歳の小児がん経験者は若年成人の500~1000人に1人いるとされています。
厚生労働省の調査によると、2016年の1年間、小児がんと診断された0~14歳の子どもは2144人もいたとのことです。
また、米国の調査では、小児がんの5年生存率は2015年には85%を超えたとのことです。
小児がんは治ってからが大事
厚生労働省の研究班は小児がん経験者668人について担当医に調査したところ、治癒から平均して13年後に41%に晩期の合併症が見られたとのことです。またその中の37%は複数の症状があったとのこと。多いのは内分泌障害、骨・筋肉の症状だったそうです。
小児がんは治ってからがとても重要であり、医療従事者が関わりながら長期にフォローしていき、本人も自分の健康管理をしていくことが必要です。
本人が告知をされず、自覚がないケースも多い
国は2017年度からの「第三期がん対策推進基本計画」の中で、小児がん患者の長期フォローアップの推進を盛り込みました。そして、2019年3月、全国の中で指定された15か所の小児がん拠点病院で、長期フォローアップの体制がつくられました。
近年、がんは本人に告知されるケースが多いが、知らされないことが多かった時代もありました。
2002年のアメリカの研究では、小児がん経験者の19%は病名こそ知っていたものの、どんな治療をしたかなどの詳細は知らなかったとのこと。
30~40代の人は知らされていなかったり、現代よりも強い治療を受けていたりする可能性が高いです。
また進学や就職で引越しをすると通院が途絶えてしまったりすることも多いです。
フォローアップ外来は、そんな人たちのために合併症が重症化する前に対策を取ろう、というものです。
脳の発達に影響が起きる場合も
小児がんの治療の影響で、脳の発達に影響が及び、認知機能に障害が起きることもあります。
実際に小児がんの経験者の中には、一時的な記憶や文章の読み取りなどに障害があったり、他の子供よりも学習に時間を要したりすることもあるようです。
学校やスクールカウンセラー、就職先ではその上司、病院とが連携をし、サポートをしていくことが重要とされています。
2020年2月19日(水)朝日新聞朝刊より出典